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2007-11-30(Fri)

あたしを迎えに来たのは…

SANY0020

 養護施設で生き抜いた過去を思い起こそうとすると、とたんに焦点が合わなくなるの。
 度のあわない強い強度のメガネをかけて、無理やり焦点を合わせて見るような感覚で、めまいでクラクラし、頭がガンガンとするの。酷いときには、吐いてしまう。
 だから、いくつかのキーワードに引っかかったときは、薄目をあけて、対象に焦点を定めずにぼんやりと見るの。時には、自動書記状態になり、指が勝手にキーボードを叩くに任せる。
 
 だから、本当の事ではないかもしれない。ひょっとしたら、無かったことをあったかのように書く才能があるのかもしれない。
 
 なぜ、あたしは、里親家庭にこだわるのだろう…。
SANY0013
 
 幼児さんだった頃、「新しいパパとママ」が施設に来たことがあったの。夫婦が施設に来る事は滅多にない。子どもを施設に入れている子は、大半が片親だから、面会に来るのも、父親か母親が多かったの。おばあちゃん、おじいちゃんというのもあった。親というものは、どちらかしかいないものだと思っていた。
 
 だから、父親と母親がそろっているのが珍しく、子どもたちは、我先に群がっていた気がするの。
 
 男の人に抱きつくと、タバコの臭いがした。女の人は、柔らかい服と甘い香水の香りがした。

SANY0023
 
 「ね、だれのおとうさん?」
 「ね、だれのおかあさん?」
 子どもたちが口々に質問する。
 
 男の人と女の人は、子どもたちに取り囲まれ、困った顔をしている。
 
 保母が子どもたちに優しく声をかける。
 「だめよ、○○ちゃんの新しいパパとママだから、邪魔しないでね」と。
 
 「新しいパパ?」
 「新しいママ?」
 聞き慣れない言葉に胸が騒ぐ。
 
SANY0019

 その後、○○ちゃん、他の子からいじめられたと思うの。あたしも、いじめに加わったのかどうか覚えていない。

 あたしは、先生のいうことを良く聞いて、小さい子にも優しくして、お着替えも一人で出来て、お勉強も出来て、好き嫌いもなく全部食べて、お祈りも全部覚えて、洗礼も受けて、優等生だった。
 
 ○○ちゃんは、好き嫌いだらけで、わがままで、小さい子にいじわるで、お祈りも覚えられないのに、なぜ?
 あたしじゃなくて、なぜ、○○ちゃんなの?
 焼け付くような焦燥感、やり場のない怒りの感覚だけが、あたしを包んでいたの。

SANY0025

 ○○ちゃんの新しいパパとママは、何回か施設に来た。そして、最後に○○ちゃんの手を引いて、施設の門を出て行った。

 ピンクの可愛らしい新品のドレスを着て、ピンクのリボンを頭に付けて、ピンクの小さなハンドバッグを持って、白いハイソックスにピンクのエナメルの靴。
 小さな貴婦人の格好をした○○ちゃんは、何一つ荷物を持たずに、パパとママと両手をつないで、施設の門をくぐっていなくなった。
 パパとママが、門で立ち止まり、くるりと向きを変え、見送る園長先生や保母にペコリと頭を下げた。○○ちゃんは、早くいこう、といわんばかりにパパとママの手を引っ張っていた。
 
 あたしは、この光景をみて、なんだか、一人取り残された気がしたの。

 ほかにも、親が迎えに来る子もいた。
 
 あたしは、いつもいつも、取り残されていた気がする。
 
SANY0030

 結局、誰もあたしを迎えに来なかった。
 
 あたしが15歳で施設を出るとき、迎えに来たのは、紡績工場の事務のおじさんだった。

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初めまして

Mariaさんのプログには初めてコメントします。時々レイさんのブログにはコメントさせていただいています「hanahana」と申します。
社会人として結構長く働いたあと、専門学校で福祉を学び、4月から社会福祉士として働らき始めたばかり。
一時保護所での現場実習から養護施設に疑問を持ち、ただいまも勉強中です。
Mariaさんとレイさんのブログからはいつも率直な主張と真摯な気持ちを感じ、たくさんの事を考えさせていただいています。

今回のMariaさんの記事を読んで、養護施設の子供の気持ちを想像して涙してしまいました。
親から捨てられたという思いだけではなく、施設で暮らす間に「選ばれなかった子供」という味わう必要のない気持ちを何度も何度も味わう事になる。その内にその子供は「あきらめ」を覚え「自分は大切な存在だ」という気持ちを見失ってしまうのではないかと感じました。
ある子供が引き取られていく裏で他の子供がそんな気持ちになっている。今回Mariaさんに教えてもらわなければ、気が付かない事実でした。
子供がそんな悲しい思いをする前に、あきらめてしまう前に、少しでも早く「自分だけの大人(=里親)」を子供に与えて欲しいと思いました。
里親が大切だという事は痛いほど解って来ましたが、自分がその為に何が出来るのか、どうしたら良いのかわかりません。
とりあえず友人や知り合いに機会がある時に「里親ってね。。。」と伝える事しか出来ない自分にちょっと落ち込む最近です。
辛い記憶だと思われる内容を、たくさん伝えて下さって本当に感謝しています。
いつもいつもありがとうございます。
(長いコメントになってすみません)

誰も迎えに来なかった現実との対峙


 書いてくれてありがとうMaria。電話してくれたのにヨッパで眠り込んでしまった、ごめんね。

 一連の記事を読んで改めて、そして強く思った。何かがチガウと思う、小さな子が何かを飲み続ける。涙なのか思いなのか怒りなのか判らないけれど、飲み込み続けて圧縮される。そうすると容量が増える、なみなみと注ぎ続ける、そして表面張力との勝負になる。

 施設全部育ちの心のフリーエリアを確保して、誰からも責められない、責められても外壁になれればと思う。わたしにとって施設は養護施設じゃなくて孤児院だった。

 孤児だった・・・ずっとずっと。

 今更ながらこの記事を読んでそう感じた。 

 見捨てられたと捨てられたは全く違う問題だと思う。わたしは捨てられた子ども時代を全て抱っこしたい。

 ・・・でも、永久凍土女がMariaの心を温められるのかな。


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